ベイロマンス カヤックスのオフィシャルブログ。
カヤックにまつわる様々なモノゴトをざっくばらんに綴っていきます☆
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2018/11 新艇『ELEMENT』のその後☆
category: 試作 | author: brk-blog17817
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    JUGEMテーマ:kayak カヌー

     

    皆さん こんにちは〜

    今回は新艇『ELEMENT』についてお話します。

     

    現在このカヤックは引き続き開発中となっておりますが、

    先日、三重県熊野市(新鹿)にて開催されました第8回熊野シーカヤックマラソンに参戦、

    製品版の艇体を2艇製作し、その性能を確かめに行ってきましたのでご報告します☆

    この2艇の製作にかけた時間はわずか1週間です。

    この「わずか1週間で2艇製作」という所がミソで、

    コリン・アスリートのバックオーダー製作が最優先という中、エレメント製作に掛けれる時間はほとんど無く、

    また、作業スペースにも限界があるので、作業を始めたら一気に造り上げる必要がありました。

    がしかし。。。

    さすがに1週間では厳しいものがありました…。

     

    そもそもなぜ2艇必要なのか?

    当初の予定では1艇だけ製作し、最悪の場合コリンアスリートで出場(2016年レース参加実績あり)〜とも考えておりましたが、

    気になったのは当日のお天気。

    日本の遥か南で発生した台風26号の影響でレース当日は相当なウネリが入ってくると予想されていました。

    この為、さすがに10.5ftのコリンでは厳しいレース展開を余儀なくされると考え、

    意を決してELEMENTを2艇製作する事にしたのです。

    1艇は以前より計画していた屋久島での耐久テストに対応する為、後方ラゲージスペース(クーラーボックス搭載用)、

    センターコンソール内イケス仕様とし、

    もう一艇は完全にレースオンリー仕様という事でハッチ類はすべて機能しない物とし軽量化を図りました。

    2艇あるという事は、そうです。もう一人居ます。

    フィロソファー156のフィールドテストを担って頂いた三好氏です。

    レース後には耐久テスト仕様のELEMENTを九州まで持って帰って頂く予定です。

     

    そして、レースの前々日。

    未施工の艤装品がありましたが残りは現地で取付ける事にして2艇とも何とか使える状態にまで造り込み、工場を出発。

     

     

     

    途中諸々ありまして〜前日の夕方に現地入りし、フットペダル、ラダー等の取付を行いました。

    現地での夜は、新鹿湾を目の前にしてシーカヤックで参加される方々とたき火を囲いながらの団欒〜

    波うち際からは「ごおぉぉぉぉ…」と不気味な音がして、湾に押し寄せるウネリが月明かりにしっかりと照らされておりました。

     

    翌朝。レース当日です。

    空気は少しヒンヤリしていましたが見事な快晴。

    しかし。

     

    波うち際では引き続きウネリを伴ってオーバーヘッド級のブレイクがさく裂しており、

    ここからの出艇は極めて困難だろうと思いました。

    とりあえず検艇を済ませ、軽く朝食をとった後、夜間の作業で不十分だった艤装の最終仕上げに取り掛かりました。

    開会式を終え刻々と迫るレース開始時刻。

    とりあえず、目の前のデカいビーチブレイクを乗り越えて、海上に設置してあるスタートラインまで無事にたどり着けるかが問題。

    先にエントリーを始めたのはシーカヤッカーの方々。

    うまくセット(ウネリの間隔)を見てエントリーするもことごとく沈して浜に打ち上げられている様を見て、絶望感を味わいました…。

    その状況を見ていると大会運営側からアナウンスがあり、比較的波が穏やかな浜の右端、川の流れこみがあるところまで移動して出艇する事になりました。

    しかし、三好氏はさすがです。

    そんな状況でも華麗にビーチスタートを決め、いち早く海上のスタートラインに待機していました。

    自分は?というと・・・

    波打ち際をトボトボ。。。カヤックを引きづりながら河口まで歩き、ようやく出艇できました。

    それでも何度か波をかぶってスタート前にすでに水浸し。。。

     

    今回レースに持ち込んだELEMENT。

    実は... スカッパーホールがありません!

     

    本来シットオンカヤックはデッキ上に溜まる水を排水する為に必ずスカッパーホールが設置されていますが、

    今回のELEMENTにはそれがありません。

     

    それは何故か?というと、単に造り込みが間に合わなかったから。。。m(__)m

    それに加えて、

    このカヤックはデッキ上のコクピットが体にフィットする形状をしており、通常のシットオンよりも水が溜まるスペースが少なく、ゆえに万が一水が溜まったとしても大して影響は無い、そう踏んでいたので、最悪はビルジポンプで排水すれば良いと考えていました。

    がしかし!結果的にはツメが甘かったのです。。。

     

    デッキ上にはスカッパーホールを想定して貫通穴があいていましたが、

    コレを塞ぐのを完全に忘れてレースに出てしまったのです。。。

     

    三好氏が乗るプロト02号艇はその穴がイケスに直結、そして自分の乗るプロト01号艇は、なんとそのまま船内直通。。。

    船内直通という事は、そこから入った海水はすべて船内に溜まっていくという事になります。。。

     

    更に、三好氏のプロト02は後方ラゲージスペースの形状及びスカッパー位置の高さが非常に悪く、カヤックを漕いでる最中に水は排水されず、

    むしろどんどん水が溜まってしまう恐れがありました。

    この部分については幸いにもレース前に不具合であると気が付いて、スカッパーホールを急きょふさぐ措置をしましたが、

    それは逆に一度水が溜まったら抜けなくなる…という事です。

     

    そんな波乱含みのまま、ついに15kmのレースがスタート。

     

    ある程度余裕をもってスタートを切った三好氏は、シーカヤックのトップ集団とともに好調な出だしです。

    一方自分は。。。

    出艇時に被ってしまった波をコクピットに満タンにした状態で排水する間もなく、ビデオカメラのスイッチも押せず、そのままスタート(泣)

    とりあえず、湾内を一気に漕ぎ進み、外海に出る前に排水作業1回目、そしてビデオカメラのスイッチをON。

    意外というべきか、想定内というべきか、

    コクピットに満タンの水があるにも関わらず、ここまでは異様なほど安定性もあり、シーカヤックと余裕で並走するほどの速度も出ていました。

    排水作業をしながら「これはひょっとすると、ひょっとするかも⁇」と内心期待に心躍らせていました。

     

    排水作業を終え、少し軽くなった船体は更に軽快に走りだし、あっという間に8劵魁璽垢寮泙衒屬恵賄世謀達。

     

    しかし、

    この辺りから先は沖合のウネリと、岸側の絶壁にぶつかり返ってきたウネリが合わさって、

    周りの景色を隠すほどの大きな三角波が辺り一面覆っていました。

     

    むろん、容赦なくそれはデッキ上に襲い掛かってきました。

    進めば進むほどその三角波はサイズアップして、コクピットはすぐに満タン水浸し。。。

    それでもまあまあ速度も出ており安定性も十分だったので気にせずレース続行。

    途中、少し波が落ち着いたところで2回目の排水作業。

    そしてまた漕ぎだし、想定していた時間より少し早めに15劼寮泙衒屬恵賄世謀達。

     

    前回コリンで出場した際のタイム「2時間11分」を大幅に更新するかも!!!

    そんな期待を持ちながら目印のブイを旋回。

    ところが、ブイを旋回中、思ったよりも小回りが効かない事にヘンな違和感を覚えました。

    この時すでに相当量の海水が船内に溜まっていたと思われます。。。

     

    さあ!後半!気合を入れていくぞ!!!

    そう思って漕ぎ始めると、前半よりパドリングが重く感じてしまい、やはり、何か、ヘン、です。

     

    疲れも出てくる頃だから…そう思ってとりあえず、3回目の排水作業を終え、先に進む事にしましたが、

    追い波に翻弄されてコントロールを失う場面が多くなってしまいました。

    いやこれはホントにヘン!!

    パドリングのスキルも大したことないレベルなのでその影響も十分にありますが、それにしてもヘンなんです。

     

    追い波で速度を出し過ぎるとあらぬ方向に進んでしまって立て直すのも一苦労、速度を制限しながら慎重に進路を保つようにしました。

    頭の中では「なに?なに?なにが起こっているんだ?」とちょっとパニックになっていました。

    この時点でも船内浸水にまで まったく考えが至っていません。。。

     

    そして、ふと後方を振り返った時、ラダーが跳ね上がっている事に気づきました。

    「なんだ!ラダー効いてないじゃん!!」

    これだ!と思ってラダーをしっかり水中まで降ろしました。

    でも 当然ながら、これは気休めにしかなりません。。。

     

    再び激しい三角波地帯を通過中、まったくコントロールを失ってしまいます。

     

    そして4回目の排水作業。

    これで少しはパドリングも軽くなって正常に戻るハズなのですが、漕げば漕ぐほどパドリングが重くなっていきました。

    「いよいよ疲れもピークか…」

    そう思いながら外海をなんとか漕ぎきりましたが、

    湾にさし掛かる頃には足が攣り、腰が痙攣しだし、手の皮がめくれだし、思ったようなパドリングは出来なくなっていました。

     

    もう〜タイム更新はムリだろうなぁ…

    期待はできないかもしれないが、せめて完漕だけはしよう。

     

    ウネリにカヤックを乗せながら、漕いでるというより漂っているような状態で湾内を進み、ようやくゴールが見えてきました。

     

    そして、再びあのビーチブレイク登場。

    スタート時刻から約2時間が経過し、引き潮の時間帯にあたるビーチ。

    それはそれは恐ろしいビックサイズの波が打ち寄せていました。

    「こんなボロボロ状態であの波に突っ込んだら真面目に死ぬかも…」そう思っていると、

    大会運営側のスタッフの方がマリンジェットに乗って近づいてきて、

    「出艇した場所と同じ河口の方でカヤックを降りてください!直進してゴールはとても危険です!」

    と言われました。

    「痛く共感です・・・」

     

    河口に進路を変えて進みました。

     

    一方、三好氏は、これまたさすがです。

    スタッフの制止を振り切りゴールめがけて一直線!綺麗にランディングを決めて心配しながら見つめるギャラリーから拍手歓声があがったとの事です。

    そして一言、「こういう所がシットオンの見せ場でっせっ!!!」

     

    そして自分・・・。

    回避したはずの河口で、ウネリの波をかわす事が出来ず、思わず波乗りしてしまいました。。。

    水深わずか1mもない所で恐怖のバウ沈!!!!!

    海底にバウが刺さってそのまま縦回転しそうになりながら、何とか体勢を立て直し満身創痍で着岸しました。

    最後の最後に衝撃的な出来事に見舞われ、しばらくカヤックから立ち上がれませんでしたが、まだゴールしていない事を思い出し、

    慌てて浜に降り、カヤックを引き上げることにしました。

     

    すると!!!!

    船内浸水!!ココで発覚!!!!

    まったくカヤックが持ち上がらず!!!!!

     

    引きずる事も出来ないほどの重量があり、船内に大量の海水が入っている事がわかりました。

    レース中に自分が感じた違和感のすべての要因!そして先ほどのバウ沈の要因!!!!!

    痛く納得しました。。。

    補足:バウ沈した要因

    ELEMENTのバウ側(船首付近)の船底形状は通常のカヤックと比べてかなりボリュームがある(浮力が高い)ので、

    通常ならば追い波によっていくらスタン側(船尾)が持ち上げられてもバウ側が水中に沈んでしまう事は考えにくい。

    よって、船内に溜まっていた海水が追い波の影響で船尾から一気にバウ側へ移動した結果、

    浮力を完全に無くして沈んでしまったと考えられる。

     

    こうしている場合ではない!

    とにかくゴールしないと!

     

    推定100kgはあるんじゃなかろうか…と思うような船体をひっ繰り返し、

    排水しながらとりあえず波打ち際から離したところに全力で引き上げ、ゴール目指して砂浜を一気に走る!…いや…歩くだけで精一杯でした。。。

    そしてトボトボと歩くこと約10分。何とかゴールし完漕を果たしました。

     

    タイムは「2時間25分53秒」。。。

     

    …でしょうネ。って感じです。

     

    ちなみに。。。

    この日15kmコースにエントリーしていたカヤッカーは22人。(大会公式資料参考)

    そのうち完漕できたのは半分の10人でした。。。

     

    レース後、

    三好氏にレース中の様子を尋ねるとプロト02号艇はイケスが2回満タンになったそうで、

    その排水作業によるタイムロスが痛かったとのことでした。

    確かにその通りです。。。

    自分でさえ前半は中々の速度をマークしながら航行出来ていたので三好氏なら優勝も間違いなく狙えたと思います。

    自分の場合も船内浸水が無ければ。。。

    イケス2回満タン。。。

    ELEMENTのイケス容量は約60ℓ。2回満タン=120ℓ。

    ということは、やはり自分の艇の船内にもかなりの浸水があったと思われます。。。

     

    でも、

    角度を変えて考えてみると、そんな状況下で普通に浮いている事、そしてコントロールこそ損なってしまいましたが、

    あの海況において沈するほど不安定にならなかった事は十分評価に値すると思いました。

    このカヤックの持つ潜在能力はとてつもないものであると、ある意味確信づいたのです。

     

    レース後、本来ならば1艇は屋久島でテストを行う予定でしたが、

    今回のレースがある意味耐久テストとなり、その結果を受けて屋久島テストは更に延期となりました。

    これも本当に残念な事ですが、やれることを精一杯やった結果なので自分なりには致し方ないと納得しています。

     

    最後に。

    この新艇『ELEMENT』に関して

    市場投入、そして製品化に向けては改善点や課題もまだまだ多く、引き続き開発を続けていく事となりますが、

    このカヤックの潜在能力をしっかり発揮できるようにこれからも頑張って製作していきたいと思います。

     

    という事で!

    今回は新艇『ELEMENT』のその後☆についてのお話でしたが、

    長文を最後までお付き合い頂いた皆様、誠に有難うございましたm(__)m

     

    追記☆

    本編の内容はYouTubeにも動画がありますので、興味がございましたら覗いてみて下さい。

    ※画面酔い注意ですm(__)m

    タイトル/ELEMENT in ATASHIKA2018 

    動画URL/https://www.youtube.com/watch?v=TqsYjd5R8ak&list=PLEJev1BjH1HHntM-KVziX_ubDWalMnlHP

     

     

    それではまた次回!

     

     

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